従来サービスとの違い
我が国では、これまで大手企業や健康保険組合などを中心に外部の電話相談サービス(健康相談ダイヤル、こころの相談窓口)を導入している企業・団体が多数ありました。しかし、利用者にとっては敷居が高く、また広報活動も十分でないことから、年間を通じて利用があまりなく、本来の目的である「予防」効果を果たしていないケースが多く見受けられていました。
これら従来の外部「電話相談サービス」と「EAPサービス」はコンセプトやサービス内容が全く異なるものです。
以下に主な相違点をあげます。
相違点 | 電話相談サービス | EAPサービス(Broad Brush型) |
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目的 | 心身の健康の保持増進 | 従業員と職場の生産性向上 |
主な支援の対象 | 心身の健康に不安を持つ方 | 管理職、人事部、従業員すべて |
アプローチ方法 | 事後対応的アプローチ | 予防的アプローチ |
相談範囲 | 健康問題、メンタルヘルス問題のみ | メンタルヘルス問題のみならず、キャリアやプライベート、マネジメントコンサルテーションを含めた7領域 |
年間利用率 | 平均約0.1~0.3% | 平均約5% |
スタッフ構成 | 医療系スタッフ(看護師・保健師など) | 医療系スタッフ(産業医・精神科医) 心理系スタッフ(臨床心理士・精神保健福祉士など) ビジネス系スタッフ(キャリアコンサルタント・ビジネスコーチなど) |
相談手段 | 電話相談中心 | 面談相談中心(+電話相談、メール相談、TV電話相談) |
利用促進活動 | 消極的(導入時に資料を配るのみ) | 積極的に展開(継続的にPR活動を行う) |
組織への提案 | ほとんどなし | EAPコンサルタント・顧問医を中心に、改善提案を行う |
!POINT
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01
EAPの目的は「従業員と職場の生産性向上」です。働き方改革が求められる昨今の企業環境において、「残業削減の取組み」「効果的な指示の出し方」「定年後を見据えたキャリアデザイン」などのテーマは従来の電話相談サービスでは対応できません。
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02
電話相談サービスは数百社と契約し、大規模にセンターオペレーションで運営されているため、単発・表層的な対応にならざるを得ません。地元密着型のEAPは、顧客企業の実情をよく理解した上で、継続的・複合的な対応が可能です。
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03
電話相談サービスは主に「従業員」が対象ですが、EAPは「管理職」「人事部」も支援対象に含めています。現在、部長や課長職に対するマネジメントコンサルテーションやEAPコンサルタント・顧問医による人事部への施策提案に力を入れています。